聖なる植物、オリーブ
オリーブは、古くから神聖な植物として人々から尊敬されてきました。特に地中海沿岸地域では、その地域に住んでいる人々の生活と密接に関わり合っているものでした。そのため、ギリシア神話やエジプト神話などにおいてオリーブに関する神話や伝説が数多く残されています。
オリーブが神聖な植物と考えられている理由の1つとして考えられるのが、その生命力です。100年以上、長くて1000年以上生きるオリーブの木は生命力が非常に強いのです。また、オリーブの木には1年を通して葉が付いており、人々を雨や強い日差しから守ってくれます。神聖なものでありながら、人々の生活に根ざした身近な植物でもあるのです。
さらにオリーブの木からはオリーブオイルが採れます。栄養が豊富に含まれているオリーブオイルは、日々の生活になくてはならないもの。それゆえ、人々の尊敬の念はさらに深まったのだといえます。
オリーブの起源はどこ?
オリーブはギリシア神話に登場するため、起源もギリシャであると思われやすいです。しかし実際のオリーブの起源は、トルコやシリア周辺の小アジアであるといわれています。もともとの野生種はアフリカ北岸や地中海沿岸地域に自生しており、イタリアではオリーブの葉の化石が見つかっています。その化石はなんと5万年以上も前のものだと言われており、歴史の深さを物語っているのです。
さらに、野生種から改良された栽培種は5000~6000年ほど前から栽培が行われるようになりました。その栽培種が小アジアからギリシャに広まったのです。そしてさらに、ギリシア人やフェニキア人、ローマ人などが世界中にオリーブを広めていきました。紀元前6世紀ごろにはチュニジアやイタリア本土にも広がり、ローマ人の占領地にも拡大していきます。加えて1560年ごろにはメキシコやカリフォルニアなどでも栽培されるようになり、地中海地域以外でも栽培されるようになったのです。とても長い歴史を持つ植物であるということが分かるでしょう。