オリーブオイルは、今や食卓に欠かせない存在です。昨今の健康志向の高まりによって、ヘルシーなオリーブオイルに注目が集まっています。どこのご家庭にも1本はあるオリーブオイルですが、その起源や歴史について、日本ではあまり知られていません。
オリーブオイルはいつ・どこで生まれたの?
今からおよそ6000年前、トルコ南部でオリーブオイルは誕生したと考えられています。「Oil(オイル)」という単語の起源は「オリーブ」を意味するアラビア語です。このことから分かるように、かつてはオイル=オリーブオイルのことで、世界で初めて誕生した料理用油がオリーブオイルでした。旧約聖書中によれば、古代イスラエルでは国王を任命するときに王の頭にオリーブオイルを注ぎました。切り傷や打撲に塗る抗炎症剤、灯火の燃料としても用いられていました。食用、儀式、医療など生活のあらゆる面で用いられた、暮らしになくてはならないものだったのです。
オリーブオイルとローマ人の深い関係
紀元前13世紀頃から地中海で貿易業に乗り出したフェニキア人が、オリーブの木の栽培をギリシャやイタリアに伝え、広げていきました。その後、地中海全域へと領土を拡大していた古代ローマ帝国は、新たに取得した領土でオリーブの木を栽培させました。そのため、紀元前3世紀にはオリーブの栽培がローマの属州であった北アフリカまで広がり、同時にオリーブオイルもヨーロッパや北アフリカ、中東へと伝えられました。ローマ人はオリーブオイルを食用にしただけでなく、マッサージオイルや香水の成分、薬草を溶かして薬としても用いていました。推定によれば、古代ローマでのオリーブオイル消費量は年間1人25リットル以上だったとも言われています。ローマ人の必要を賄うため、ヨーロッパや北アフリカからローマまでオリーブオイルが船で運ばれ、海運業が盛んになりました。地中海沿岸諸国の歴史や繁栄はオリーブオイルと密接なかかわりがあったのです。