オリーブオイルは料理や美容に使用される美味しくて便利なオイルですが、スポーツとも深いかかわりがあります。オリーブオイルとスポーツには、一見何のかかわりもなさそうですが、どんな関係があるのでしょうか。古代ギリシャの時代まで遡ると、両者の意外な関係が見えてきます。
筋肉痛のケアに使われた
古代ギリシャでは、筋肉痛の際にオリーブオイルで体をマッサージしていました。医学の父と呼ばれる古代ギリシャの医師ヒポクラテスは著書の中で、運動の後にオリーブオイルと水で体をマッサージするように勧めています。スポーツ競技が盛んだったギリシャには、アスリート専門のオイルマッサージ師がいたそうです。筋肉痛をやわらげるだけでなく、肌や筋肉に柔軟性を与えてケガを防ぐ効果や筋肉の疲労をとる効果もあると考えられていたため、アスリートたちは練習や試合の前後にオイルマッサージを受けるのが習慣となっていました。
オリンピックとオリーブ
紀元前776年に、ギリシャでオリンピックは誕生しました。オリンピックで勝者に与えられた冠はオリーブの枝でできていました。ギリシャ神話最大の英雄ヘラクレスが、オリンピアの庭に生えていたオリーブで冠を作って勝者に与えた、という言い伝えに由来します。古代のオリンピックは全裸で競技が行われ、男性のみが参加、観戦を許されていました。そのため、肌を守るためにオリーブオイルを塗って保護しました。また、オリーブオイルで肌を美しく見せたとも言われています。西暦393年の第293回オリンピック開催後に、邪教ゼウスの祭りという理由でローマ帝国によってオリンピックが廃止されるまで、この競技大会は続きました。
近代オリンピックは1896年の第1回アテネ大会が最初です。アテネで開催される2回目のオリンピックとなった2004年アテネ大会では、勝者にはメダルと共に、クレタ島に自生する樹齢推定5000年、世界最古のオリーブの木から作られた冠が与えられました。